ツツジ・シャクナゲの栽培 

シャクナゲの増殖法-接ぎ木(2024.03(一部、聞き書きです) 

 

①    FM氏の場合

     私はシャクナゲ栽培歴40数年にして、一昨年夏は20数本、昨夏は30数本を枯らした、万年初級者ですので、眉に唾しながら読んで下さい。 

    春は接ぎ木の適期です。2、3月が最適とシャクナゲ栽培の先輩から聞いてきましたが、私は3月から5月に接ぎ木をしていました。近年、地球温暖化の影響のせいか、5月では遅いのではないかと考えるようになりました。接ぎ木の後の養生期間中に暑くなって、接ぎ木を失敗することが多くなった気がしています。今年は4月中に終えようと思います。

    接ぎ木の目標は暑さに弱いシャクナゲを耐暑性のある台木に接いで猛暑に負けない苗にすることです。寒冷地では、寒さに強い台木に接いで、耐寒性を増すことも必要となりますが、滋賀県のような暖地では、暑い夏に耐える苗を作ることが大目標になります。耐暑性の改善の目標を前提に、私は三つのことを目指して接ぎ木をしています。第一の目的は大切な苗のスペアを作ることです。原木が枯れたときの備えです。昨年の夏はスペアを作る前に枯れた苗が数本あり、とても落胆しました。大事な苗が弱ってきたときは、接ぎ木をするのに不適な真夏でも、祈る気持ちで接ぎ木をすることがあります。次に、趣味の仲間が増えると、お庭で珍しい花や見事な花(花色、花の形、樹形)を見せていただくことが多くなります。その時は1本の枝をいただいて、接ぎ木することがあります。これが二つ目の目的になります。また、仲間内で苗を交換することもあります。その時に私から差し上げる苗を準備しておく必要があります。自分の気に入りのシャクナゲを接ぎ木して提供苗を準備します。これが三つ目の目的です。

    接ぎ木の台木として私は専らアカボシシャクナゲを用いています。台湾に自生するアカボシシャクナゲは耐暑性があり、日本のシャクナゲとの親和性もよく、最適の台木です。10年ほど前までは毎年100本ほどの実生アカボシシャクナゲを買っていましたが、最近は老眼で視力が落ちたこともあって、接ぎ木をするのは、年に20本程度に減りました。昨年は10本足らずでした。購入するアカボシシャクナゲは100%ピートモスの用土で栽培されています。この用土では過湿になって、根腐りの原因になりますので、いずれは自分の常用する用土(私の場合は鹿沼土と日向土の混合用土)に替える必要があります。しかし、接ぎ木するときは、ピートモス用土のままの台木に穂木を接いでいます。接ぎ木が上手くいったことを確認した後、例えば、秋になってから常用用土に植え替えます。

    接ぎ木のやり方には色んな方法がありますが、大事なことは台木の形成層と穂木の形成層を合わせてやることです。少しでも両形成層が合っていれば、接ぎ木は成功します。穂木の軸をV字カットし、台木に割れ目を入れ、割れ目に穂木を挿す、「割り接ぎ法」はV字 の両面で形成層の接触面ができますので、成功率が高い方法です。割り接ぎ法の一番の欠点は接いだところに、見た目のよくない「こぶ」ができやすいことです。私は穂木も台木も軸を斜めに切り、切断面を合わせて接ぐ「合わせ接ぎ法」を採用しています。穂木と台木の太くなる成長速度がほぼ同じであれば、後年接いだ箇所が分からなくなるほどきれいに接ぐことができます。もっとも穂木と台木が同じように太くなるということは稀なことですが・・・・。穂木も台木も切断面が波を打たないようにするために、切れ味の鋭い「接ぎ木ナイフ」を使って、スパッと切るのが一般的ですが、私は接ぎ木ナイフを使ったことがなく、いつも薄手のカッターナイフを使っています。私は肥後守をポケットに入れていた子供の頃から刃物研ぎが下手で、高価な刃物を買っても、砥石にかける段階で、いわゆる、丸研ぎをして、切れ味をなくしてしまうという情けない自信があります。カッターナイフなら、ブレードを折って、新しい歯を出すだけで、切れ味は変わりません。市販されている最も薄いブレードのカッターを使っています。また、作業中にしばしば指を切るという変な自信もありますので、接ぎ木作業を始める前に左手人差し指の一節分に絆創膏を巻いています。以前は接ぎ木テープとして伸縮性のないテープを使い慣れていましたが、近年は伸縮性のあるテープが市販されており、大変に便利になりました。前者は20~30cm程度の長さにテープを切って、使っていましたが、後者は5cm程度に切り出して、手で引っ張り、伸ばして、穂木と台木の形成層の一致を確認して、穂木と台木の位置がずれないようにしながら、テープを巻きつけてゆきます。後者のテープは粘着性もあるので、結ぶ必要はなく、伸ばしながら、巻き付けをしただけで終わります。接ぎ木だけでなく、枝が折れかけたときにも、接ぎ木テープを修復に使っています。

    接いだ後、形成層が合っていても、接合部の導管の数は少ないので、根からの吸水量と葉からの水の蒸散量のバランスが取れません。葉の面積を小さくするために、葉を短くしたり、葉の数を減らしたりしますが、葉の面積が小さくなると、当然、養分を作る光合成の効率が悪くなりますので、蒸散量を減らすために、袋掛けをします。すなわち、穂木全体を覆うように透明なポリ袋をかぶせて密閉します。

    密閉しておよそ1か月したのち、ポリ袋に小さい穴を開けて、外気が入るようにして、穂木の様子を見ます。穂木の葉がしおれることがなければ、外気が入る面積を徐々に広げ、やがて、ポリ袋を取り除きます。15年ほど前に、知人からいただいた大事な穂木を接ぎ木して、うまくいったと喜んで、1か月足らずで、ポリ袋を少しずつ外したところ、穂木がしおれて、接ぎ木を失敗したことがありますが、それ以来、密閉期間を十分過ぎるほどにとるようにし、外気に晒すのも徐々に行っています。以前は90%以上の成功率に自信を持っていましたが、老眼がひどくなって50%ぐらいの成功率になってしまいました。

    一昨年に三重県まで出かけて、「葉芽接ぎ法」を学んできました。この方法だと、1本の穂木に10枚の葉が付いていると、理想的には10本の接ぎ木苗が作れます。特に、貴重な種類のシャクナゲの増殖法として、身に着けたい方法ですが、私の場合、まだ20~30%の成功率ですので、もう少し習熟してから紹介します。
 

②   TM氏の方法 

   私の接ぎ木の目的は大切な苗のスペアを作ることと、珍品の穂木を入手したときに新しい一鉢を作ることです。例年、1年に30~40本の接ぎ木を行います。これまでは主として4~5月に接ぎ木を行ってきましたが、昨夏の猛暑でよく枯らしたので、今年は3月初めに接ぎ木を開始しました。4月中に接ぎ木を終えようと思っています。大切なシャクナゲが枯れそうになったりして、また、夏や秋に珍しい穂木を入手したりして、止むを得ず、適期でない時期に接ぎ木をすることもありますが、案外接ぎ木が上手くいくこともあります。後者の例として、アーボレアム系のシンナモメアム(R. arboreum ssp. cinnamomeum)やフォーチュネイ(R. fortunei)の接木苗は我が家で元気に育っていて、毎年花を見せてくれています。私は割り接ぎ法と合わせ接ぎ法を併用しています。割り接ぎ法は穂木と台木の形成層を合わせやすく、上手く接ぐことができます。台木の割れ目を入れるときに失敗した台木を合わせ接ぎの台木として使うこともあります。以前は専用の接ぎ木ナイフを使っていましたが、3年前からカッターナイフを使っています。割り接ぎ法で台木の割れ目を入れるときには、刃の薄いカッターの方が上手くいきます。接ぎ木テープとして、専ら伸縮性のあるテープを使っています。伸縮性と粘着性を備えた接ぎ木テープはホームセンターで容易に入手できます(例えば、ニューメデール)。接ぎ木を終えた苗は大きめの透明ポリ袋にそのまま入れ、袋の上端を閉じて、密閉し、直射日光を受けない場所で管理します。台木の側芽が動き出すと、袋の外から、あるいは、部分的に袋を開封して、折り除きます。また、穂木の展葉した葉が変形しないように、時たま開封することがありますが、完全に開封するまで、水やりを必要としません。6~7月に完全に開封します。外気への晒し方が難しく、工夫が必要だと思います。接ぎ木が上手くいっているのに、外気に晒す段階で、穂木を萎れさせることが結構多いようです。昨年はポリ袋に入れて保管する方法以外に、蓋のついた化粧ケースで保管するやり方を採用しました。後者は接ぎ木した苗をポリ袋に入れずに、化粧ケースに入れ、蓋をして保管する方法です。同数の苗で比べたところ、後者の方が若干良い結果を得ましたが、穂木の種類が異なるので、厳密な比較ではありません。 

    台木としてアカボシシャクナゲを使いますが、私は接ぎ木が上手くいったことを確かめた後に、秋に自分の用土に植え替えています。 

 

③    SN氏の方法 

    私は年に20~30本の接ぎ木を行います。基本的には割り接ぎ法で接いでいますが、失敗した台木を使って、合わせ接ぎを行うこともあります。成功率は70~80%です。接ぎ木を行うのは、2月末、あるいは3月初めに開始し、3月中に接ぎ木を終えます。接ぎ木テープとして、専ら伸縮性のある接ぎ木テープを使用しています。接ぎ木で大事なことは台木と穂木の形成層を合わすことであり、太さの違う穂木と台木の片側をぴったりと合わせてやります。次いで、台木と穂木の間に隙間を生じないようにするために、接ぎ木テープをきつく巻きつけていきます。接ぎ木の後、接いだ箇所から上の穂木の部分に透明なポリ袋を袋掛けします。この時、袋内の空中湿度を保つために、霧吹きをします。接ぎ木をして、10日ほどすると、葉の萎れの有無などから接ぎ木が上手くいっているかどうか分かりますので、上手くいったものを蓋つきの衣装ケースに入れます。衣装ケースは直射日光の当たらない、明るい場所に保管します。4月になると台木の側芽が動き出しますので、必ず摘み取るようにします。4月中頃、ポリ袋を外しますが、まだ化粧ケースの中で保管します。4月下旬~連休明けに衣装ケースから取り出し、他の鉢と同様に管理します。 

    台木が前年に入手できた場合には、秋のうちに植え替えをしておきます。そのときには、用土のピートモスを6-~7割除去します。翌春、新しい用土で根も十分に伸びた台木に接ぎ木をします。 

 

④    KT氏の場合 

    私は例年50~60本の接ぎ木を行います。接ぎ木の成功率は6~7割ですが、昨年は手を怪我したために、50本の接ぎ木に対して、10本しか成功しませんでした。私は3月中頃から末頃にかけて、集中して接ぎ木をします。今年も3月22日現在40本の接ぎ木を終えました。歳をとり、目を悪くしたこともあって台木の下の方で接ぐのが難しくなりました。台木の下部ではテープを巻きつけるのも面倒になってきました。台木に5、6枚の葉を残し、地表から5cm程度の高さで接ぎ木をします。接ぎ木を失敗したときには、台木の残った葉の芽を育て、翌年の台木として使用します。接ぎ木を成功させるために、台木とできるだけ同じ太さの穂木を探します。太さが同じくらいだと成功する可能性が高くなります。 

    以前は割り接ぎ法を採っていましたが、最近は専ら合わせ接ぎを行っています。以前は接ぎ木専用のナイフを使っていましたが、砥ぐのが面倒になって、近頃はカッターナイフを使用しています。その代わり、こまめに使用済みの刃を折って、新しい刃を使うようにしています。伸縮性の接ぎ木テープを長さ5cmの小片に切り出し、さらに半分の幅に切って、穂木と台木の接触面がずれないように注意しながら、テープを引っ張って固く巻き付けていきます。接ぎ木を終えた苗は蓋つきの衣装ケースに納めます。さらに、直射日光を避けて、軒下など薄暗い場所で衣装ケースを保管します。衣装ケースの中を時々観察し、5、6日に一回水やりをします。特に春先は、衣装ケースをコンクリートの冷たい面の上に置くより、ブロックなどの上に置いて、少し浮かした方が暖かく、根のために良いように思います。実生栽培のために購入したマットヒーターを20℃に温調して、その上に衣装ケースを置くことも試みたいと思っています。4月末に接ぎ苗を衣装ケースから取り出し、直射日光を避けて置き、施肥をします。肥料として市販の油粕と骨粉の発酵肥料(小粒)を苗の周りに置き肥えしています。 

    台木のアカボシシャクナゲはピートモス用土で栽培されているので、予めピートを60-70%取り除いて、鹿沼土(小粒+中粒)に植え替えて置きます。今年は台木を入手した3月に新しい用土に植え替えをし、直後に接ぎ木台として用いましたので、用土を抑えながら、接ぎ木することになりました。結構、面倒でした。 



 

秋の作業(2023年9月)

SN氏の場合

    花芽が目立つシャクナゲも見られるようになりました。また、エゾキスゲの蕾が大きくなってきました。シャクナゲの植え替えは原則、春の作業です。根が十分に張れるように、雑草は目に付けば、四季を問わず、取り除きます。秋には、鉢植えを含め、庭木全体にスミチオン乳剤を散布します。また、雨が降れば、水遣りは控えめにします。肥料散布も秋に行います。今年はササユリを植え替えする予定です。(9月13日)

TM氏の場合
   今年は腰痛で、台風対策で棚から下した鉢をそのまま放置しています。先ず、夏に繁茂した鉢の草取りをし、枯れ枝を整理します。蕾がこれから大きくなる日本シャクナゲを中心に液肥をやります。春の施肥で着蕾したものは秋の施肥を控えめにします。今年は春に植え替えをした鉢はほとんど枯れました。春に接ぎ木した苗については、台木がピートに植えられているので、植え替えをどうするか、悩んでいます。ピートをどこまで除くか思案しています。(9月13日)

FM氏の場合
    9月には、夏の被害状況の確認、すなわち、枯れた苗のラベル(シャクナゲの墓標)の回収や葉焼けした葉や枯れ枝の整理、ツツジグンパイムシの被害を受けやすい有鱗片種や葉の薄い苗へのオルトラン粒剤の散布、置き肥タイプの化成肥料の散布などを行います。 

   さて、植え替えをする際には、どうしても、根を痛めるので、養生の期間が必要になると思います。春に植え替えする場合は猛暑に会うまでに根が十分に伸びてくる時間が必要です。秋に植え替えする場合には、酷寒に会うまでに根が十分に伸張する必要があります。そのために、春秋とも、彼岸の日を植え替えの目安にします。私は秋植え替え派です。ただし、近年、当地では9月はまだ暑いので、10月の声を聞いて、植え替えを始めます。11月からはササユリの植え替えに追われるので、シャクナゲの植え替えは10月中に終えます。春に接ぎ木した苗の植え替えもこの時期に行いますが、ピートの除去が結構面倒です。(9月14日)

ツツジ・シャクナゲの夏越し法 (2023年7月)

  TM氏の方法

  我が家では、建物を挟んで二か所に鉢を置いています。庭側(東から南東に広がる)には、ホソバシャクナゲ、ヤクシマシャクナゲ、ホンシャクナゲ(比良、鈴鹿)、五頭錦、堀江白(オキシャクナゲ)、ウエディングブーケ、アカボシシャクナゲなどの尺鉢(直径30㎝)以上のものを置いています。日照時間は午前8時から午後4時まで8時間(7月初め)ですが、特に日除けの対策はせずとも、10年以上植え替えなしの鉢でも、元気に育ち、毎年よく蕾をつけています。もう一か所の置き場はガレージの上(北西)で、日照時間は午前9時から午後3時まで6時間(7月初め)です。ここには若い苗、大切な苗、植え替えて間がない苗などの鉢を置いていますが、コンクリートの照り返しを心配し、15年以上、毎年、寒冷紗(遮光率30~50%)を使っています。毎年6月中に寒冷紗をセットしていますが、今年は体調がよくなく、遅れて、7月初めにセットしました。

夏の施肥(液肥)については、新芽の状況によって変わります。6月中に着蕾したものは施肥を差し控え、それ以外の鉢には液肥(ハイポネックスの1000~2000倍)を少なくも週1回施します。すると、秋口から着蕾することが多いです。施肥については、開花期に置き肥(固形肥料)をしますが、花後にいわゆるお礼肥はしません。このやり方では新芽が徒長することが欠点であるように思いますが、着蕾が早くなるように思います。施水については、夕方が原則ですが、日照りが強い日は朝夕2回やります。

  FM氏の場合

  私は建物の南、東、北面に鉢を置いています。南面にだけ、日除け対策を施しています。その他の面は特に日除け対策をしていません。南面の日除け対策は、斜めにつるした網目のあるカーテン(幅75cm、2枚、遮光率50%ほどか?)と、ゴーヤと琉球朝顔のグリーンカーテン(幅200cmほど)の併用です。これらの苗をGWの頃にホームセンターで購入し、深さ40~50cmのプランターに植え付けます。梅雨明け頃にはグリーンカーテンが完成します。茂り過ぎると遮光率が高くなり過ぎて、着蕾が悪くなるので、茂った葉を適当に取り除きます。ゴーヤの収穫より日除け効果優先です。施肥については、春先に大粒の発酵油粕を茶漉し袋に入れて、置き肥にします。以前は梅雨の中頃に茶漉し袋をすべて撤去して、夏を過ごし、秋に置き肥を再開していました。これが先輩方の教えだったように思います。不精になった最近は夏が来ても置き肥をそのままにしていますが、全く悪影響はありません。置き肥とは別に水肥もやります。これはハイポネックスの約2000倍希釈溶液5LにHB-101を20摘ほど滴下したものです。水肥は2週間に1回ぐらいの頻度で施します。夏も施肥を続けています。昨年から始めたのは上の水溶液を葉水として噴霧する方法で3日に一度ぐらいの頻度で葉水を施していますが、その成果か、この春の花付きがよかったように思います。私の用土は鹿沼土主体なので、表土の鹿沼土が乾いているのを視認して、水やりを行います。夏でも一日一回の施水になりますが、酷暑の日は夕方に葉が垂れていることがあります。その時は、施水を追加したり、葉水としての施水をしたりします。

  SN氏の場合

  松、槇、椿などの庭樹下の木陰に棚を置き、ツツジ、シャクナゲや山草類を栽培しています。また、山茶花の垣根や南天の陰もいい鉢の置き場にしています。夏季の日除け対策として、7、8月の晴天日には、高温と強光を避けるため、また、防乾、防虫のために、9時頃から午後6時頃まで50%の寒冷紗で覆います。寒冷紗は樹々の端から端まで掛けます。2m×4mの寒冷紗2枚半を使っています。夜間には寒冷紗を取り外し、ツツジやシャクナゲを夜露に当てます。雨天、曇天の日は寒冷紗は掛けません。施肥については、春と秋に固形肥料を置きます。加えて、ごく薄い液肥(10000倍以下)を10日から2週間に1回やります。灌水は夕方に行います。

  KT氏の場合

  家の西側と東側の2箇所にツツジやシャクナゲの鉢を置いています。特に、西側は朝から夕方まで強光に晒されますので、遮光率50%の寒冷紗で日除けをします。東側は遮光率30%の寒冷紗で日除けをしています。例年、7月になる前に寒冷紗を掛け、8月一杯覆って、9月に取り外します。今年は体調が悪く、寒冷紗を掛けるのが7月を過ぎてしまいました。そのせいか、もう葉焼けをするものが出ました。施水は用土表面の鹿沼土の色を見て、加減します。晴天の日は、4、5月頃から、1日2回施水します。曇天の日は1回、雨天の日は0回という日もあります。施肥については、5、6月頃に発酵油粕主体の置き肥をします。そのまま、越夏し、9月末に置き肥を追加します。実生熟練の業者の方の助言に従って、実生苗床に粉末状の化成肥料を施しましたが、用土に苔などの青いぬめりができたので、実生苗床の施肥は止めました。

購入したツツジやシャクナゲの苗木を長く楽しむには?(2023年3月)

  3月、ツツジやシャクナゲがホームセンターの店頭に並ぶ頃です。会員の皆さんのやり方の聞き書きです。
 

① FM氏の場合 

   私はJRSの会員ですので、実は、JRS会報「ロードデンドロン」誌秋号の巻末 に掲載されるプラントバンクリスト から、あるいは、JRSの全国大会や各地の研修会などで行われるオークションで苗を購入することが多い(9割以上)のですが*、ホームセンターで見る苗にそそられて購入することもあります。 

    苗を購入するとすぐに、苗木の大きさを考慮して、蕾を整理します。苗によっては、1/3~1/2の蕾を取り除きます。高さ40cmの苗であれば、蕾の数をせいぜい4,5個にします。理由は、私は花後の施肥が下手で、花後疲れた木の快復が上手くいかないことを心配するせいです。毎年花を楽しむために、私の場合は、摘蕾して、蕾の数を整理したほうが良いようです。開花を楽しんだら、お礼肥として発酵油粕の置き肥をし、週一回の割合で水肥を噴霧します。 

     ホームセンターで買う苗には用土の中にかなりピートモスが加えられていることが多いので、自分がいつも使っている用土(鹿沼土、日向土主体)で植え替えをします。完全にピートを取るのは面倒ですし、時間もかかるので、ほどほどにします(完全には取り除きません)。いつも使っている用土にすると、他の鉢と同じように用土が乾くので、他の鉢と並べて置いても、水やりにいいように思います。ピートモスが多いと過湿になって、根腐りし易いようです。私は秋に植え替えることにしているので、春に花を楽しんで、秋10月に植え替えます。忙しくて、手がまわらないときは翌春または翌秋まで植え替えを延ばします。 

*滋賀支部でも例会やシャクナゲの森の手入れの後の歓談時に、会員が栽培した接木苗を中心に時々オークションをして楽しんでいます。きわめて格安で苗を入手できます。

② KT氏の場合 

  私もほとんどの苗木をJRSの各種大会でのオークションで購入しています。接ぎ木の台木用のアカボシシャクナゲは時々ホームセンターでも購入します。蕾付きの苗を購入すると、蕾を整理せずに、すべての蕾を咲かせます。ただ、花房から一、二輪、花が落下すると、花房をいち早く摘み取り、新芽が伸びるのを待ちます。私は春(3月末~4月)に植え替える習慣なので、翌春を待って、植え替えをします。その際に枝を切り取って接ぎ穂にします。植え替えの際には、熊手に似た串を使って、ピートモスの大半をむしり取ります。シャクナゲ栽培の先輩から、流水を使ってピートをすべて取り去るよう、以前に教えられましたが、そこまでやると、根を傷めすぎて、枯らすこともあるようです。私の使う用土は鹿沼土と山砂に少量の腐葉土とミズゴケ少々を混ぜたもので、3年ごとに植え替えます。

③  SN氏の場合 

  私もJRSの各種大会でのオークションやJRSプラントバンクからシャクナゲの苗を買うことが多いですが、ネットを利用することも、また、たまにホームセンターで買うこともあります。私は主として育苗に関心があるので、特に蕾付きの苗を優先することはしません。比較的小さい苗を買って、3、4年後に花が咲くのを楽しみにして、苗木を育ててゆきます。苗を購入すると、すぐに自分の用土に植え替えます。その際は根を崩さず、5号鉢などに植え込みます。私の用土は鹿沼土(中粒)と山砂(花崗岩の風化土)の混合用土(8:2)です。肥料として以前は骨粉を混ぜた発酵油粕を置き肥にしていましたが、最近は大粒の化成肥料を置き肥にしています。